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矯正治療における縮小とは?

更新日:2025/01/17

矯正治療における「縮小」とは、歯列の幅を狭くする治療方法を指します。 
歯列が過剰に広がっている場合や、歯が顎の幅に対して大きい場合に、必要があれば歯を少しずつ削りながら内側に移動させ、歯列を調整する事を目的とします。 
以下では、矯正治療における縮小のメカニズム、適応症、治療方法について詳しく解説します。

縮小の概念とその目的 

矯正治療における「縮小」とは、歯列の幅を狭くするために、歯を内側に移動させる治療法です。 

主に、歯列が広がりすぎている場合や、歯が顎の幅に対して大きい場合に、噛み合わせを改善する目的で行われます。 
このような症状がある場合、歯並びが不規則になりやすく噛み合わせに不具合が生じる可能性があるため、縮小治療によって歯の位置を適切に調整し、噛み合わせを改善します。 

縮小のメカニズム 

縮小を実現するためには、歯を内側に動かす力を加える必要があります。 
歯が内側に移動するスペースを確保するため、場合によっては隣接する歯の一部を削りながら、歯を所定の位置に動かします。 

このような過程を経て、徐々に歯列を縮小していきます。 

歯を削ることによるスペース確保 

歯のエナメル質を0.2~0.5mm程度削り、隣接する歯同士の間にスペースを作ります。 
このスペースが確保されると、歯が内側に移動しやすくなり、歯列が縮小します。 
削る量は非常に少なく、歯の健康を損なわないように慎重に行われます。 
この方法は「IPR法」や「ストリッピング」と言われています。

矯正装置を用いた力の加減 

矯正装置を使用して歯に力を加えながら、歯を内側に移動させます。 
この力は、ワイヤーやゴムを使って調整され、少しずつ歯が移動するように設計されています。 

歯の移動は非常に繊細なプロセスであるため、力加減が非常に重要で、急激に力を加えることなく、適切な力加減を維持しながら少しずつ移動させていきます。

縮小の適応症 

縮小が必要とされる症例はさまざまですが、特に以下のような場合に行われます。 


(1) 歯列が広がりすぎている場合 

歯列が大きく広がり、歯が不規則に並んでいることで、見た目や噛み合わせに不具合が生じている場合に縮小を行います。 
歯列を狭くすることによって、歯が適切に並び、噛み合わせの改善が期待できます。 


(2) 過剰歯や歯の大きさの問題 

過剰歯が生えている場合や、歯の大きさが顎に対して不均衡な場合に、歯を内側に移動させ、歯列を縮小します。 
縮小治療によって歯列のバランスが整い、見た目や噛み合わせの改善に繋がります。 

縮小の治療方法 

縮小の代表的な治療方法は以下の通りです。 


(1) ワイヤー矯正(ブラケット) 

最も一般的な方法であるワイヤー矯正では、歯にブラケットを取り付け、ワイヤーを通して歯に力を加えます。 
これにより、歯を内側に移動させることができます。 
また、ワイヤーの調整により、歯列の広がりを狭める事ができます。 
ブラケットとワイヤーを使用する方法は、歯列の微調整が非常に精密に行えるため、縮小治療に適しています。


(2) インビザライン(アライナー矯正) 

インビザラインなどの透明なアライナーによって、アライナーを段階的に交換しながら、歯を少しずつ移動させ、歯列を縮小していきます。 
アライナー矯正は、目立たずに歯列を調整できるため、成人患者に特に人気があります。 
また、ワイヤー矯正と違い、取り外し可能ですので、食事や歯磨きの際の煩わしさがなく、口腔内環境を清潔に保ちやすいという利点があります。 


(3) 歯の間隔を作る方法(IPR: Interproximal Reduction) 

IPRは、歯を少し削って隣接する歯との間にスペースを作る方法です。 
この方法は、歯の大きさや歯列の広がり具合に応じて行われます。 
削る量は非常に少なく、痛みもほとんど感じないため、歯の健康を保ちながら歯列を調整する事ができます。 

縮小の治療期間と注意点 

縮小治療の期間は、患者の年齢、歯の状態、使用する矯正装置によって異なります。 
治療期間は数ヶ月から1年以上かかると言われており、治療中は定期的に矯正装置の調整を行いながら、歯が内側に移動するように進めていきます。 
縮小治療では、場合によって歯同士のスペースを確保しながら治療を進めていくため、治療中に食べ物が挟まりやすくなる可能性があります。 
また、歯を削る量には限界があるため、縮小できる歯列の幅にも限界が生じる可能性があります。

まとめ

矯正治療における縮小は、歯列や顎のバランスを整えるために非常に重要な治療法です。 
歯列が過剰に広がっている場合や、歯が顎の幅に対して大きい場合に、必要があれば歯を少しずつ削りながら内側に移動させ、歯列を縮小することで噛み合わせの改善が期待できます。 
縮小治療は、ワイヤー矯正やアライナー矯正、IPRなどの方法で行われ、患者の状態に応じて最適な方法を選択し、進めていきます。 
縮小治療には歯列や噛み合わせが改善されるメリットがありますが、健康な歯を削る可能性があるというデメリットもあります。 
このようなメリット、デメリットをしっかりと理解した上で、治療を進めていく事が大切です。

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: 矯正歯科コラム

タグ: ワイヤー矯正

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