知っておきたい矯正装置「ヘッドギア」って?
更新日:2021/10/14
これまで耳にしたことのない言葉や、目にしたことのない装置に接する機会が多い歯の矯正治療。オルソぺディアは、知っておくと便利な基本用語や矯正装置について分かりやすく解説しています。
ここでは、主に子どもの治療で使用される「ヘッドギア」についてご紹介します。
目次
ヘッドギアってどんな装置なの?
ヘッドギアは、口の中に装置するフェイスボウと首のネックストラップ、または頭につけるヘッドキャップから構成される装置です。小児矯正が盛んな欧米ではよく知られており、『ファインディング・ニモ』というディズニー映画に登場するダーラちゃんという女の子も使用しています。
ヘッドギアの使用目的は?
ヘッドギアの使用目的は、上下の顎骨のバランスを整えることです。ヘッドギアには、上顎の骨を後方へ引っ張る働きがあります。装置をつけることで、前歯を後ろに移動させたり、奥歯が前に移動しないようにします。
ヘッドギアはどんな人が使うの?
ヘッドギアは主に成長期のお子さんの「上顎前突」(出っ歯)の治療に用いられます。「上顎前突」は、上顎の過剰な成長によって惹き起こされることが多く、そのような場合、上顎の成長を抑制し上下の顎のバランスを整えるためにヘッドギアを装着します。このような骨格に起因するケースだけでなく、単純に前歯が突出した「上顎前突」の症例でもヘッドギアが用いられることもあります。
また、奥歯が前に移動することなく、前歯を後退させるために成人治療でも使用する場合があります。(ヘッドギアの代わりに歯科矯正用のアンカースクリューを使う選択肢もあります)
注意することは?
・1日12時間の着用を最低限の目安に
ヘッドギアは、長時間着用するほどその効果も大きくなる装置です。指定された使用時間をきちんと守らないと効果が薄れてしまうので、着用忘れに気をつけましょう。
学校生活などで使用することができないときは、お休みの日などに長時間装着するよう心がけてください。また、就寝時にも装着が必要なケースもあります。
・着用時は安静にする
使用する場所は基本的に自宅のみですが、ヘッドギアを装着しているときは、安静に過ごしましょう。装置が外れて顔や目に当たると危険です。歯科医の指示に従い、スポーツや激しい運動は絶対に避けるようにして下さい。
・メンテナンスをしっかりする
ゴムとワイヤーの力を利用したヘッドギアは、装置の強度を保つため、週に一度程度の頻度で左右のゴムを取り替える必要があります。ご自身の手で行いますが、決して難しい作業ではなく、どなたでも簡単に覚えることができます。とはいえ、メンテナンスを怠ってしまうと思わぬ使用事故に繋がりかねませんので、十分にご注意ください。
ヘッドギアにはどんなタイプがあるの?
ヘッドギアにはハイプルタイプとサービカルプルタイプ、オクルーザルプルヘッドギアといった種類があります。
ここでは代表的な2種類を紹介します。
ハイプルタイプヘッドギア
「上顎前突」の治療に用いられるタイプです。ヘッドギアとはいうものの「首」を固定源にしています。 通常ヘッドギアと言うとこのタイプを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
後頭部を固定するため、後上方へ引っ張る力が働きます。そのため下顎下縁平面角が大きい(ハイアングル)場合に用いられることが多いです。
サービカルプルタイプヘッドギア
「上顎前突」の治療に用いられます。ヘッドギアとはいうものの「首」を固定源にしています。
首方向へ牽引されるため牽引方向が後下方となるため、過蓋咬合を伴う上顎前突に用いられるケースが多いです。
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