反対咬合は手術しないと治らないって本当?治療期間や費用は?
更新日:2022/05/16
反対咬合でお悩みの方は、矯正歯科で手術をしなければ治らないと言われた経験があるかもしれません。そこで、反対咬合は本当に手術をしなければ治らないのか、またその時の治療期間や費用はどれくらいかかるのか、詳しく見ていきましょう。
反対咬合とは
本来は上の歯の方が下の歯に覆いかぶさるような噛み合わせなのに対し、反対咬合とは文字通り下の歯の方が上の歯よりも前に突出している状態を言います。
反対咬合の場合
- 咀嚼が十分に出来ない
- 発音がしにくい
- 顎関節に負担がかかる
など様々な問題に繋がる事もあります。
お子様の場合、早めに治療を開始する事で反対咬合を治す事が出来るので、不安を感じたら歯医者で一度見てもらいましょう。
反対咬合の治療方法
反対咬合の治療方法は年齢やタイミングで変わってきます。今回は子供と成人の場合で比較してみましょう。
子供の場合
子供の場合、まだ成長途中なので下顎よりも後方にある上顎の成長を促す治療が適しています。上顎を拡大する拡大装置や、就寝時に装着して上顎を前方に引っ張るフェイシャルマスク、歯並びを整えるブラケット装置などを使用し治療していきます。反対咬合の治療は、「歯」ではなく「骨」にアプローチしていく治療なので治療期間はどうしても長くなります。大体2〜3年くらいです。また、上顎が最も成長する時期に成長を促してあげるとより効果を発揮するので治療開始時期としては小学校低学年が最も適しています。成長するにつれて骨の位置が決まってくるので、遅くとも中学年までには開始できると良いでしょう。
成人の場合
成人の場合は反対咬合の治療部位によって治療方法が変わってきます。
歯だけに問題がある場合
反対咬合の状態で歯だけに問題がある場合は、一般的なワイヤーの矯正装置で改善する事が可能です。ワイヤー矯正による治療の場合は、上の歯を前に、下の歯を奥に入れ込むように動かすため、下の歯を動かしていくスペースを確保するために抜歯が必要になる場合があります。歯だけの治療になるので個人差はありますが大体2年〜3年くらいが治療期間の目安です。
骨に問題がある場合
反対咬合が骨の問題である場合は、ワイヤー矯正だけで改善させるのは難しくなってきます。一般的な矯正歯科にカウンセリングに行った時に、このような場合は大学病院での「外科手術」を勧められると思います。
外科手術の流れは
- 術前矯正
- 外科手術
- 術後矯正
です。
「術前矯正」では、外科手術前に上下の歯並びを整えるために歯科矯正を行います。術前矯正が終わったら、次に下顎を後ろに下げる「外科手術」をします。外科手術では1〜2週間の入院が必要になるため長期の休みを確保しなくてはなりません。また、術後最初は口が開かないので食事は鼻のチューブから摂取します。術後のダウンタイムがある程度落ち着いたら「術後矯正」で最終的な咬み合わせを調整するため再度ワイヤー矯正をします。「外科手術」を伴う矯正治療は長い治療期間と術後のダウンタイムがかなり辛い治療です。外科矯正は術前矯正から術後矯正まで約4〜5年という期間がかかりますので、矯正治療を始めるには強い意志と覚悟が必要になってきます。
治療にかかってくる費用
反対咬合の治療は年齢やタイミング、治療部位によって治療方法が変わってくるので費用もそれぞれ変わってきます。
子供の場合
子供の矯正治療の場合は30万円前後の歯科医院が多いようです。治療前の精密検査や、診察代、術後の保定装置などを含めて合計50万円くらいが相場です。また、発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために歯列矯正が必要と認められる場合は、医療費控除の対象になるので治療費の負担を少し減らせるかもしれません。
成人の場合
通常のワイヤー矯正のみだと、合計80〜90万円前後が相場です。装置を目立ちにくい裏側にする場合は100万円以上かかってくる事もあるようです。また外科手術を伴う治療になると症例によっては保険適用になる場合もあります。
保険適用になる症例としては、以下を参照にしてください。
①「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
(“厚生労働大臣が定める疾患”の主な疾患として、唇顎口蓋裂・ダウン症候群・6歯以上の先天性部分無歯症など、現在53の先天疾患が定められています。)
②前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する矯正歯科治療
③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療
参考:日本矯正歯科学会HP(https://www.jos.gr.jp/facility)
歯科医院で保険適用の対象になると診断された場合は治療費の負担も少なくなります。矯正治療だからといって全てが自己負担になるわけではありませんので、一度歯科医院で相談されるのが良いでしょう。
この記事を書いた人