治療について

SSROって何?SSROとルフォーの違いは?

更新日:2024/01/16

SSROとは?

SSROとは、別名“下顎枝矢状分割法(かがくししじょうぶんかつほう)”とも言い、下顎骨を矢状方向に分割し、理想的な位置に下顎を移動させる手術です。
主に下顎が前にしゃくれている状態を後ろに引っ込めたい、反対のかみ合わせである「受け口」を改善したい場合に適しています。
SSROはそのような症例の中でも重度の症状や、顎に左右差がある際に適応となる場合が多いです。
口腔外科手術を代表する主要な治療法の一つで、多くの施設で治療が実施されています。

SSROのメリット・デメリット

メリット

1.治療の治りが早い

SSROは分割した骨片間を骨接合するため、分割された骨面の接触面積が広く、骨の治癒が早いのが特徴です。
骨片を強固に固定できるため、早期に顎位の安定が見られ、術後に上の歯と下の歯を長期間にわたって固定する(顎間固定)必要がありません。
顎間固定中は口を一切開けることができないため身体への負担が大きいですが、このような顎間固定を回避できるのは大きなメリットです。

2.幅広い症例に適応可能

SSROは、下顎を矢状方向へ分割することにより、前後・左右・上下など、さまざまな方向へ移動できるため幅広い症例に適応可能です。
移動の自由度が高く、しゃくれや受け口のほか、下顎が後退している場合や上下の歯の間が大きく開いている開咬、下顎が極端に小さい小下顎症、下顎が左右非対称な顎変形症にも対応できます。(ただし、非対称が大きい場合は、改善が困難)
さらに、SSROはルフォーと組み合わせて治療を行うことで、出っ歯や笑った時に歯ぐきが見えるガミースマイルの治療など、さまざまな症例にも対応可能です。

デメリット

1.下歯槽神経を傷つける恐れがある

SSROでは、術中に下歯槽神経を傷つけてしまう恐れがあります。
下歯槽神経は下顎の感覚を司る神経のため、神経が損傷すると下唇や下顎周囲の皮膚、口の中の粘膜、歯ぐきに痺れ、麻痺などの知覚異常が表れます。

2.下顎骨骨折が生じる可能性がある

SSROは、術中や術後に不適切骨折などの偶発症を起こす可能性があります。
術者による不適切な手術器具の使用や、不適切な治療計画によるものが多く、万が一下顎骨骨折が生じた場合は数週間にわたって顎間固定をする必要があり、再入院や入院期間の延長を余儀なくされます。

SSROとルフォーの違いは?

SSROはしゃくれや受け口などの「下顎」にアプローチし、改善する手術であるのに対し、ルフォーは出っ歯やガミースマイルなどの「上顎」にアプローチし、改善する手術です。

ルフォー(上顎骨切り術)では、上顎骨を骨切りした後、理想的な位置に移動し固定することで骨格の不調和を調整します。
出っ歯やガミースマイルのほか、上顎が前に出ている上顎前突症や、後ろに下がっている上顎後退症、中顔面が長い、上顎の劣成長、上顎骨の左右非対称の改善などにも適した施術です。
ただし、ルフォーは骨の移動量に限界があり、ルフォー単独で行われる症例はほとんどありません。
SSROと同じく骨の移動の自由度が高く、固定性にも優れていますが、上顎だけを移動させると術後のかみ合わせに不具合が生じる可能性があるため、理想的な治療結果を求める場合にはSSROなどと併用して治療が行われることが多いです。
その場合は、ルフォーでまず上顎を動かし、さらにSSROで下顎を上顎に合わせて移動していきます。

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

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カテゴリー: 矯正治療の方法

タグ: 矯正治療の豆知識

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