歯列矯正の革命「アンカースクリュー」って何?
更新日:2021/10/18

アンカースクリューという言葉をご存じでしょうか?
「歯列矯正を変えた」とも呼ばれるのは直径にしてわずか1、2㎜、長さ7から10㎜ほどの小さなネジです。
何故、アンカースクリューが革命的だったのでしょうか?
それはこれまで治せなかった歯が矯正できるようになったこと、ヘッドギアなど大きな装置を使わなくても移動できるケースができたことです。
解説していきますね。
目次
アンカースクリューの仕組み

アンカースクリューはネジを骨に打ち込みます。
以前までの歯列矯正は、歯に装置をつけるかヘッドギアのように大がかりな装置を頭や首に固定するしかありませんでした。
つまり、歯と歯の間で引っ張っていたのですが、アンカースクリューの登場によって任意の場所にネジを打ち込み向かせたい方向へ力をかけながら固定することができるようになりました。骨と歯の引っ張り合いができるようになったのです。
骨にネジを打ち込んで引っ張る。そう聞くととても痛そうに思えるかもしれませんが、不思議なもので腫れや痛みはありません。
チタンまたはチタン合金製なので骨とのなじみもよいそうです。
ただし、ネジ頭が歯茎の外に出ているため、喋ると唇裏とこすれるために最初のうちは慣れません。ギシグーやワックスで対応しましょう。
ネジを打ったところの穴は矯正治療後にネジを取ると数か月で回復するそうです。人間って不思議!
アンカースクリューのメリット
歯の移動が早い
ネジは固定されているため動かしたい歯を効率よく目的の位置に動かせます。効率よく治療が進み、治療期間の短縮が期待できるとされています。
大掛かりな装置がいらない
上顎前突(出っ歯)の歯列矯正ではヘッドギアのような装置が必要でした。これは患者の負担が大きく何より見た目にも制限があるものであり、取り外しも大変でした。患者にとっては心身共に負担が少なくなりました。
歯を抜かなくて済む
抜歯が必要なケースでも歯の位置をコントロールできれば、アンカースクリューによって抜歯の必要がなくなります。
外科手術がいらなくなる
開咬・ガミースマイルのように症状が重く、外科手術を行ってきたものの手術がいらなくなりました。
これまで難しかった症例の治療が可能に
例えば逆ガミースマイルのように治療が難しかったものも、アンカースクリューによって矯正が可能になりました。
アンカースクリューのデメリット
追加費用がかかる
アンカースクリューは多くが通常の矯正料金とは別になります。1本1万円~というところが多く、複数打つことも珍しくありません。高いところでは10万円前後になります。
笑うと見えることも
見えない矯正として舌側矯正やマウスピース矯正を選択してもアンカースクリューと併用の場合、場所によってはアンカースクリューと歯を結ぶゴムが見えることがあります。100%ばれたくないという場合は注意が必要です。
成功率が100%ではない
成功率は80~90%と言われています。若い人やタバコを吸う人、口内を清潔に保てていない人の成功率は下がると言われています。アンカースクリューが脱落した場合は再び埋め込むことになります。
稀に感染するリスクがある
ごくまれに不衛生な状態が続くとアンカースクリューから骨まで感染するリスクがあります。
病院や先生の経験がものをいう
アンカースクリューは昔はなかった治療法です。それゆえ技術をしっかりと更新している信頼できる矯正歯科医、専門の矯正歯科クリニックに通う必要があります。
日本矯正歯科学会の認定医以上はもちろんのこと、オルソペディアでオススメしている病院は多くがアンカースクリューにも対応している病院になります。
実際にアンカースクリューを使った矯正のケースを次回以降に紹介しますね。
この記事を書いた人