統一専門医ってなに？

統一専門医とは

「統一専門医」は通称であり、正式には「日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医」といいます。矯正歯科専門医の設立には紆余曲折があり、その過程で「統一専門医」と今まで呼ばれてきました。

なにを？なぜ？統一なのか？

日本では、これまで矯正歯科領域において厚生労働省が認める専門医制度は存在しませんでした。

その理由として、歯列矯正の資格認定制度は、公益財団法人日本矯正歯科学会（JOS）、一般社団法人日本矯正歯科協会（JIO）、特定非営利活動法人日本成人矯正歯科学会（JAOO） の3団体がそれぞれ独自に認定を行っていたことが挙げられます。

厚生労働省としては、これら3つの団体に優劣をつけることが難しく、また、各団体にとっても、どこか一つの学会のみが選ばれる状況は望ましくありませんでした。
そのため、専門医制度の確立にあたっては、これら3団体の間での調整が必要となりました。

厚生労働省が専門医制度を推し進める理由

厚生労働省は専門医制度の整備を進めています。日本専門医機構が主体となって運用している新専門医制度（2018年から本格開始）を通じて、専門医の育成と質の向上を目指しています。

厚生労働省が専門医制度を推進する背景

1. 医療の高度化・細分化
   医学の進歩により診療分野が細分化され、より専門的な知識と技術を持つ医師の育成が求められている。
2. 地域医療の充実と偏在の是正
   都市部への医師偏在を是正し、地域医療の質を確保するために専門医の適正配置を図る。
3. 国際的な専門医制度との整合性
   欧米諸国と同様の専門医制度を確立し、日本の医療の国際的な評価を向上させる。

新専門医制度の概要

• 基本領域専門医（19領域）
  例：内科、外科、小児科、産婦人科、歯科口腔外科 など
• サブスペシャリティ領域（基本領域専門医取得後にさらに特化）
  例：循環器内科、消化器外科 など
• 認定要件の統一・標準化 
  学会ごとの基準ではなく、共通の認定基準を設ける。

日本矯正歯科学会の認定医が日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医になるには？

日本歯科専門医機構認定の矯正歯科専門医になるには次の条件を満たさなければなりません。

取得すべき研修単位

共通研修（日本歯科専門医機構）

⚫︎ 10単位以上（申請前5年以内）
⚫︎ 以下の5区分から各1単位以上を含める

1. 医療倫理
2. 患者・医療者関係
3. 医療安全
4. チーム医療
5. 医療関連法規・医療経済

専門領域研修（矯正歯科）

⚫︎ 日本矯正歯科学会が認める学術大会やセミナー等に出席し、5年間で10単位以上取得
⚫︎ 例：年次学術大会出席=10単位、支部学会出席=7単位

申請書類の提出

資格・経歴証明書類

⚫︎ 専門医申請書、履歴書、歯科医師免許証の写し
⚫︎ 日本矯正歯科学会認定医資格証の写し

症例資料

⚫︎ 5症例の詳細記録（課題症例3例+選択症例2例）
⚫︎ 各症例の患者同意書

研修修了証明

⚫︎ 矯正歯科基本研修修了証明書
⚫︎ 矯正歯科臨床研修修了証明書
⚫︎ 共通研修・専門研修履修記録

学術活動記録

⚫︎ 学会発表リスト、論文リスト

専門医認定試験

筆記試験

⚫︎ 矯正歯科学全般の知識を問う試験

症例審査（口頭試問）

⚫︎ 提出した5症例について試験官と質疑応答
⚫︎ 診断・治療方針の説明と評価

日本歯科専門医機構認定矯正歯科専門医（統一専門医）は誰？どこの医院？

2025年現在、日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医を取得している歯科医師は、日本矯正歯科学会のホームページで確認することができます。

https://www.jos.gr.jp/asset/list_sp.pdf

矯正歯科専門医の名簿

2024年4月1日承認者

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。