お酒で歯が動く?歯列矯正中のお酒との付き合い方
更新日:2022/06/27
目次
お酒と歯の移動に因果関係はあるのか?
結論から申し上げると、飲酒することで歯の移動を促進できるという確かなエビデンスはありません。
飲酒により血行が良くなると痛みを感じやすくなる可能性があるので、矯正直後や痛みが強いときは飲酒を控えた方が安心です。
歯列矯正で歯が動く仕組み
歯の周りには歯周組織というものが存在し、その中に歯根膜という歯のクッションのような役割を果たす組織があります。
この歯根膜とセットで歯が移動します。
このとき、歯根膜が圧迫されている側では破骨細胞が働き歯槽骨が破壊されたことによりスペースが生まれ歯が移動します。
反対側の引っ張られている歯根膜側では、進んだ分のスペースを埋めるために骨芽細胞が働きます。
歯列矯正ではこの仕組みを利用し、少しずつ歯を動かしていくのです。
この仕組みに飲酒(アルコール)が積極的に関与しているというデータはありません。
飲酒とお口の関係
お酒の飲みすぎで二日酔いになってしまったり、記憶をなくしたりと苦い経験をお持ちの方もいるかもしれません。
これらの経験から漠然と飲みすぎは体に悪い、という認識はあるかと思います。
実はお酒は口腔内にも影響を及ぼします。
飲酒による脱水症状
まずアルコールによる利尿作用です。
さらにアルコールを分解するのに水を必要としているため、より体から水分が奪われ脱水症状になりやすいのです。
結果、口腔内へ影響を及ぼしていきます。
口腔内への影響
①唾液の分泌の低下
唾液には殺菌効果があります。
唾液の分泌が低下すると、菌が繁殖し虫歯や歯周病、口臭などの原因になります。
また近年では口腔内と腸内の細菌には因果関係があり、全身疾患にも影響があることが分かってきています。
②歯が溶け出す
まず口の中は中性でpH7です。
pH5.5以下で歯の表面が溶けだすと言われています。
普段の飲食でも酸性に傾きますが、唾液の働きにより中性に戻します。
酸性になり少し歯の表面が溶けだしたとしても、唾液中のカルシウムやリンで修復してくれます。
ですが、飲酒により長時間ダラダラと飲んだり食べたりしていると唾液の働きが間に合わず酸性に傾いたままになってしまいます。
さらに脱水状態が続いていれば余計に口腔内は悪化していきます。
水 | pH7.0 |
ビール | pH4~4.5 |
焼酎 | pH3.9~4.4 |
ワイン | ph3.0~4.0 |
お酒を飲むときは、おつまみや食事も併せて摂るので常に酸性に傾いていることが考えられます。
また、ジュースもほとんどが酸性です。
歯列矯正中での飲酒で気をつけること
ダラダラ飲まない食べない
①唾液の分泌の低下、②歯が溶け出すで挙げたことからも、ダラダラと飲食をすることはお勧めできません。
お酒を飲んでいると時間が経つのはあっという間というように感じられるかと思いますが、全身の健康のためにも飲みすぎないのは良いことです。
歯磨きの徹底
お酒の飲みすぎで歯を磨き忘れたという事態は絶対に避けましょう。
歯列矯正中はとくに食べ残しやプラークが付着しやすく、より丁寧なブラッシングが必要になります。
キレイな歯並びを手に入れようとしているのに、肝心の歯が汚れている、口臭がするということでは本末転倒です。
お酒がメインで食べないという方も、口腔内は酸性になっていますしお酒には糖分が含まれていることもあるので必ず磨くようにしましょう。
飲食後は歯磨きです。
色の濃い食べ物に気をつける
赤ワインが好きな人もいるでしょう。
色の濃い飲み物、食べ物は着色しやすいので、歯の表面に限らず装置によっては変色しやすいものもありますので気をつけるようにしてください。
色の濃いものを飲んだり食べたりしたら、すぐにお水ですすぐなどをすると多少は回避できるかもしれません。
マウスピース型矯正装置の場合、装着時間を守る
マウスピース型矯正装置の場合、装置を外しての食事になるので装着時間が守れないということにならないように気をつけてください。
また、マウスピース装着前にブラッシングを行わないと汚れが圧接し虫歯や歯周病のきっかけになります。
歯の表面をマウスピースが覆うことで、唾液による自浄作用が期待しにくい状況にあるため口腔内の衛生管理には特に気をつけましょう。
まとめ
歯列矯正中の飲酒は可能ですが、歯の動きに直接関与するといったエビデンスはありません。
飲酒により、痛みが増長される可能性がありますのでご自身で体調を確認の上お酒を楽しみましょう。
またお酒は飲みすぎると身体だけではなく、口の中にも影響を及ぼします。
歯並びを綺麗にするのは健康な歯があってこそ。
時間を意識しつつ、楽しい時間が終わったあとは必ず歯磨きをしましょう。
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