交叉咬合は放置するとどうなる?治療法は?
更新日:2023/06/14
目次
交叉咬合とは
通常、下の歯は上の歯の内側にありますが、上の歯が下の歯の内側に入り、1歯~複数歯にわたって歯並びが交叉してしまっている状態を“交叉咬合“と呼びます。
交叉咬合を放置するとどうなる?
顎骨の変形や顔の歪みが生じる
本来、上の歯の内側にあるはずの下の歯がどこか1歯でも反対になっていると、そこを起点として下顎は横にずれて成長してしまいます。
成長期に上顎と下顎が左右前後にずれていると、正常な顎骨の成長が阻害されてしまうため、顎骨の変形や顔の歪みが生じてしまう可能性があります。
顔の歪みが生じてしまった場合、成人になってから直そうとすると外科的な矯正治療が必要になります。
外傷性咬合になりやすい
交叉咬合によって上下の前歯が強く接触すると、歯の根や歯ぐきに強い負担がかかるため、外傷性咬合になりやすいです。
歯の寿命が短くなる
上下の歯並びが悪いとかみ合わせも悪くなるため、奥歯へかかる力の負担が本来よりも大きくなります。
どこか一部分のかみ合わせが強い状態が続くと外傷性咬合になりやすく、将来的に歯の神経が死んでしまい、長持ちさせることが難しくなります。
交叉咬合の治療法は?
拡大床による治療
交叉咬合の多くは、上顎の幅が狭いことが原因で起こっているため、拡大床により上顎を横に広げる治療を行います。上顎を広げるだけで、改善が見られる場合もあります。
クワドヘリックスによる治療
上顎の内側にクワドヘリックスと呼ばれる装置を固定し、弾性のあるワイヤーのバネの力によって歯を外側に移動させます。
クワドヘリックスによる治療は、歯の動くスピードが早く、数ヶ月〜半年ほどで歯が大きく移動します。
マルチブラケット治療
顎に異常が無い場合は、マルチブラケット装置によって歯を動かすだけで改善が見られる可能性があります。
歯だけでなく、顎にまで問題が生じてしまうと矯正治療だけで治すのは難しく、外科的な手術を伴う可能性が高くなります。そのため、交叉咬合の治療は顎の成長が終わる前の乳歯列期から、できる限り早い時期の治療が望ましいです。
交叉咬合の治療費は保険適用?
顎変形症により“外科手術を併用する矯正治療の場合“には、健康保険が適用されます。
顎変形症と診断されても、外科手術を併用せず“矯正単体で治療する場合“は保険が適用されませんので、注意が必要です。
顎が大きく前に突出している、逆に引っ込んでいる、顔面の変形や咬み合わせの著しい異常を起こしている状態を、“顎変形症“と呼びます。
顎変形症など、あごのずれが大きい場合は矯正歯科治療で歯を動かして並べるだけでは改善できないものがあります。
顎変形症でも、症状が軽度の場合は矯正歯科治療だけでも改善することはありますが、重度になるとあごの切離手術が必要になります。
外科的な手術を併用する矯正治療を行う場合は、手術だけでなく手術前後に行う矯正治療にも健康保険が適用されます。
ただし、矯正治療に健康保険が適用できるのは、“顎口腔機能診断施設“として認可された医療機関に限られます。
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