治療について

矯正歯科における歯科衛生士の業務範囲は?一般歯科との違いは?

更新日:2024/03/12

矯正歯科で働く歯科衛生士の業務は?

矯正歯科における歯科衛生士業務は、主に以下の5つが挙げられます。

歯科医師の診療補助

一般歯科における歯科衛生士業務と同様、診療中に歯科医師のアシストを行います。 治療中のバキューム操作や診療前の器具準備、片付け、滅菌、消毒なども行います。

矯正歯科では主にプライヤーを使用しますので、一般歯科とは扱う器具が異なります。

  • 歯科衛生士法 第二条に「歯科衛生士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、歯科診療の補助をなすことを業とすることができる。」と規定されています。

TBI、クリーニング等のメインテナンス

矯正治療中は歯磨きが難しく、装置の周りに汚れが残りやすくなるため、歯科衛生士による歯磨き指導(TBI)や治療中のクリーニングが非常に重要です。

装置の周りには矯正用歯ブラシやタフトブラシなどを用いながら、患者さんの歯並びや器具に合わせて一緒に歯磨き練習を行います。 

歯磨き指導の他にも、必要に応じて食事指導やフッ素塗布も行います。

  • 歯科衛生士法 第二条に「この法律において歯科衛生士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
  1. 歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によって除去すること。
  2. 歯牙及び口腔に対して薬物を塗布すること。

「歯科衛生士は、前二項に規定する業務のほか、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とすることができる。」と規定されています。

矯正用ワイヤーの交換や結紮 

歯科医師の指導のもと、ワイヤー矯正で治療中の患者さんのワイヤー交換、結紮(ワイヤーを細いワイヤーでブラケットに固定すること)などを行います。 

ワイヤーの調整は歯科医師の業務ですが、ワイヤーの交換や結紮は歯科衛生士が行う場合が多いです。 

  • 歯科衛生士法第十三条の二に、「歯科衛生士は、歯科診療の補助をなすに当っては、主治の歯科医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は医薬品について指示をなし、その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をすることは、さしつかえない。」と規定されているため、ワイヤーの交換や結紮は歯科衛生士が行っても問題ありません。 しかし、ワイヤーの調整は医療行為にあたるため、歯科衛生士が行うことはできません。

精密検査の補助 

精密検査時の写真撮影、レントゲン撮影の補助、印象採得を行います。

特に矯正歯科で撮影されることが多いレントゲンの「セファログラム」は、頭部X線規格写真とも呼ばれ、上下の歯の位置・傾斜、骨の長さ、ズレなどを分析し、治療計画の立案に用いられます。 

セファログラムは通常のレントゲンとは角度、距離などが異なるため、患者さんの位置付けが非常に重要です。 レントゲン撮影の誘導、位置付けは歯科衛生士が行う場合が多いです。 

  • 放射線技師法 第二条において、「この法律で診療放射線技師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線の人体に対する照射(撮影を含み、照射機器を人体内に挿入して行うものを除く。以下同じ。)をすることを業とする者をいう。」と規定があるため、歯科衛生士がレントゲン撮影を行うことはできません。 

MFT(口腔筋機能療法)の指導

MFTの指導も歯科衛生士の業務です。 
MFTとは、口腔周囲の筋力を鍛えながら口腔習癖の改善を目指すトレーニングで、口腔周囲の習癖による矯正治療後の歯並びの悪化を抑制します。 

一般歯科との歯科衛生士業務の違いは? 

TBI、クリーニング、歯科医師の診療補助は基本的に一般歯科と同じですが、ワイヤーの交換、MFTの指導、セファログラムの撮影補助などは矯正歯科でしか行いません。 

初めて矯正歯科で勤務する際は、慣れるまで大変かもしれませんが、一から指導してもらえる場合がほとんどです。 

また、矯正歯科は完全予約制で、一般歯科よりも一人当たりにかける時間が長めの医院が多く、急患の予約なども一般歯科に比べて少ない傾向にあります。 

限られた時間で多くの患者さんを診る一般歯科に比べ、矯正歯科では一人一人の患者さんとじっくり向き合いやすいため、歯科衛生士業務も時間に余裕をもって行える場合が多いです。 

矯正歯科で働く歯科衛生士のメリット

患者さんとの信頼関係が築きやすい

矯正歯科は一般歯科と違い、治療に2〜3年、保定期間も含めると4年ほどかかるため、患者さんと接する期間が長いのが特徴です。 

ワイヤー矯正の場合は調整で月に1回は来院されるため、患者さんと話す機会も多くなり、治療が進むにつれて患者さんとの関係も深まりやすいです。 

歯科医師には言いにくい事も歯科衛生士には言いやすいなど、患者さんにとっても歯科衛生士は頼りやすい存在であると言えます。 

患者さんの変化を近くで見届けられる

患者さんの歯並びの変化はもちろん、徐々に綺麗になっていく歯並びに喜ぶ姿や、明るくなっていく姿を近くで見届けられるのは、矯正歯科で働くやりがいの一つでしょう。 

一般歯科ではすぐに処置が終わってしまう虫歯治療が多く、長期で通院される患者さんも少ないため、長期間にわたって患者さんの変化を見られるのは矯正歯科の大きな特徴です。 

専門性を高められる

矯正歯科で働いていると、自ずと矯正治療に関する知識や技術が身についていきます。 

一般歯科では得られないスキルが身につくことで、資格取得に役立ったり、次の職場を見つける際の強みになったりしやすいです。 

より専門的な知識を得るために、セミナーや学会を受講できる機会も多く、スキルアップしやすいのも矯正歯科の特徴です。 

矯正歯科の業務で重要なポイント

矯正歯科では、長期間にわたって患者さんと付き合っていく必要があるため、コミュニケーション力や患者さんの気持ちに寄り添う姿勢が重要であると言えます。 

矯正治療が長期になってくると、口腔衛生へのモチベーションが下がり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。 
さらに、治療の痛みや歯磨き、食事のしにくさなどから辛い思いをしながら通院される患者さんも中にはいらっしゃいます。 

一人一人の患者さんと向き合い、患者さんの気持ちを汲み取りながら、一緒に口腔内の健康を保てるよう寄り添ってあげるのが、矯正歯科における歯科衛生士の重要な役目でしょう。 

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: 矯正歯科コラム

タグ: 矯正治療の豆知識

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