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インビザラインによる詐欺的事件が発生?トラブルに巻き込まれないためには

更新日:2024/03/01

インビザラインによるトラブルや事件が発生?

インビザラインは透明で目立ちにくいため、矯正治療中の見た目に抵抗のある方に非常に人気な治療法です。
しかし、その一方でインビザラインの“詐欺的な商法”による事件やトラブルなども発生しています。
「目立たずに矯正治療をしたい」という純粋な思いでインビザラインを選択された方が、事件やトラブルに巻き込まれてしまい、高額な費用損失や健康被害などの問題も出ているようです。

以下に、インビザラインによる実際に起きた事件やトラブルを紹介していますので、これからインビザラインを始めてみようかな?と考えている方は、事前に知っておくことでトラブルを未然に防げるかもしれません。

実際にニュースなどで報じられた事例

①インビザラインのモニター制度を利用し、詐欺的な商法

銀座などでクリニックを運営していた医療法人に対して、詐欺的な商法の被害にあったとして患者ら153人が総額約1億9700万円の損害賠償を求めて提訴しました。
クリニックは「インビザライン治療のモニターになれば“実質無料”で治療を受けることができる」と説明し、患者にローン会社などから借金をさせて高額な治療費を一括で払わせたそうです。
クリニック側から毎月モニター報酬が支払われ、最終的には患者の費用負担は無くなるという仕組みでしたが、モニター報酬の支払いが途中で止まり、クリニックも閉院、患者は多額の借金を返さなければならなくなりました。
被害者は1000人以上で、多額な治療費の損失だけでなく、治療途中の方の健康被害も懸念されています。

参考:https://www.asahi.com/articles/ASR1V66G7R1VUTIL036.html

②無料モニターで高額な治療費を騙し取られる

福岡県博多市にあるクリニックでも、無料モニター制度を利用した同様な被害が発生していたようです。
①と同じく、最初に患者にローンを組ませ治療費を一括で払わせた後、毎月一定額を返済し、実質患者さんの負担する治療費は無料になるという仕組みでしたが、こちらの事例では歯科医院側も騙されていたようです。
患者に治療費の返済を行っていたのは、歯科医院ではなく歯科医院の経営会社で、歯科医院側は報酬の支払いが滞っていたことを患者さんに報告され、気づいたようです。
歯科医院は経営会社から、“資産はあるから返済は心配ない”と言われ、その言葉を信じ、モニター制度を契約してしまったそうです。

参考:https://www.youtube.com/watch?v=aerphzEw37o

③理事長と副院長が詐欺の疑いで逮捕、診療不能に

新宿にある歯科医院にて、副院長が別の事件で業務停止処分を受けていたにも関わらず診療を行い、報酬を不正に受け取ったとして、理事長と副院長が詐欺の疑いで逮捕されました。
院長不在の状態では事業継続が困難となり、その後医療法人が破産、インビザラインの治療途中の患者は2661名にものぼり、転院を余儀なくされています。

参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/ed01a48329d45c27466139f78c17df714397e0d3

インビザラインが悪いわけではない

紹介したトラブルの事例に共通しているのが“インビザラインでの治療”の際に起きた詐欺的事件やトラブルでしたが、決してインビザライン治療自体が悪いわけではありません。
インビザラインは非常に難しい治療であり、治療費も相場が100万円以上と高額であるため、この高額な費用を歯医者が全て負担し、患者は実質無料で治療ができる、というのは現実的にかなり難しいと言えます。
実際に詐欺的商法ではなくモニター制度を実施している歯科医院もありますが、患者だけにメリットがあるわけでなく、症例を学会で発表させてもらう、治療の経過を写真で記録させてもらうなど、モニター制度は歯科医院にとってもメリットがあります。
モニター制度が全て悪いわけではありませんが、“高額な治療費が無料になる”など、あまり現実的ではないものは注意しましょう。

③の事例はモニター制度は関係してないですが、クリニックが途中で閉院してしまい、治療の継続が困難になってしまうケースも少なくありません。
インビザラインは特に知識と技術が必要な難しい治療であるため、転院先で希望通りの治療結果を得られない可能性もあります。
本来は同じ医院で治療を終えるのが最も望ましいですが、今回の事例のように通院が困難になってしまった場合にどうするべきかは、治療開始前に歯科医院としっかり話し合い、契約書にその内容を記載しておくことが大切です。

インビザライン契約の際に注意すべきこと

今回紹介したトラブルに巻き込まれないようにするためには、モニター制度を利用する際はしっかりと見極める事、万が一クリニックが閉院してしまった場合の治療や費用はどうなるのかを確認しておくことが大切です。
近年、SNSなどで矯正治療のモニターに関する広告をよく見かけるようになり、“医療機関が詐欺をするわけがない”と、広告を信じ気軽に治療を開始してしまう方も少なくありません。

しかし、日本矯正歯科学会からの注意喚起にも記載されているように、矯正歯科治療を受ける際には、担当医より治療費・支払い方法などについて十分な説明を受け、不明な点については確認し、納得したうえで治療を開始するよう注意しましょう。

参考:https://www.jos.gr.jp/11844

インビザライン以外のトラブル事例にも注意!

今回はインビザラインの治療に関するトラブル事例を紹介しましたが、それ以外にも実際に歯科治療中に起きた事故やトラブルを紹介します。

  • 栃木県の歯科医院において、歯を治療していた際に治療の器具の一部が歯内に残り、化膿し重症。
  • 千葉県の歯科医院において、歯の治療中に歯科医が舌の裏を器具で傷付け、重傷。
  • 歯科医院において、インプラントの人口歯根を取り付けた際、人工歯根が鼻まで達し、重傷。
  • 福岡県の障害者支援施設において、歯科医が利用者の口腔ケアをしたところ、当該利用者の歯の冠が外れ気管支に入り、救急搬送。ケア時の当該利用者の体位が適切ではなかった。

参考:消費者庁ホームページ(https://www.caa.go.jp)

このような事故やトラブルの多くは、金銭が関わる詐欺的事件とは違い、避けることのできない偶発事故である場合が多いです。
患者側も予測することが難しく、歯科医師からも事前にこのような事故が起こる可能性があると説明する事も少ないでしょう。
万が一、歯科治療中に上記のような事故が起きた場合の対応や保証など、治療の前にしっかりと説明を受け、患者も同意した上で治療を開始するのが安心です。

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: お役立ちコラム

タグ: トラブル マウスピース矯正

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