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高額療養費制度を使って医療費を最も安く済ませる方法は?

更新日:2024/02/26

高額療養費制度を使って医療費を最も安く済ませる方法は?

限度額適用認定証を利用する

「限度額適用認定証」を利用することで、医療機関での支払いを高額療養費の上限額までに留めることができます。
高額療養費制度は、保険適用される診療に対し、1日から月末までにかかった1ヶ月間の医療費が自己負担上限額を超えた場合、その超えた分が“後で払い戻しされる“制度ですが、窓口で一時的に医療費を自己負担する必要があるため、金銭的に負担が大きく不安な方もいるかもしれません。
しかし、あらかじめ限度額適用認定証を申請し、医療機関の窓口で提示することで一時的に医療費を自己負担する必要なく、支払いを高額療養費の上限額までに留めることが可能です。
高額療養費制度を利用するだけでも最終的に支払う医療費は同じですが、払い戻しまでに3ヶ月ほどの期間がかかってしまうため、すぐに高額な費用を準備できない方や金銭的に不安な方は限度額適用認定証を利用しましょう。

マイナ保険証を利用する

マイナンバーカードを健康保険証として利用登録することで、「限度額適用認定証」が省略できます。
ただし、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるのは、オンライン資格確認システムを導入している医療機関・薬局のみですので注意が必要です。
対応している医療機関・薬局のリストは厚生労働省のホームページより確認ができますのであらかじめ確認しておきましょう。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/index_16743.html

限度額適用認定証は申請してから発行までに1週間ほどかかりますので、すぐに支払いが必要な場合などはマイナ保険証での利用がおすすめです。

他にも医療費を安く済ませる方法がある?

高額療養費制度では、「世帯合算」や「多数回該当」といった仕組みによって、最終的な自己負担額をさらに軽減することができます。

世帯合算

1人1回分の窓口負担では自己負担の上限額を超えなくても、同じ世帯にいる他の方が窓口でそれぞれお支払いになった自己負担額を1か月単位で合算することができます。
その合算額が自己負担の上限額を超えたときは、超えた分が高額療養費として支給されます。

ただし、世帯合算の際は注意事項が何点かあります。

  • 世帯合算ができるのは同じ医療保険に加入している方に限る
  • 70歳未満の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみ合算される
  • 75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象になるため、74歳以下の方とは合算できない

多数回該当

多数回該当とは、直近の12ヶ月間に3回以上、自己負担の上限額に達している場合、その月の負担の上限額がさらに引き下がる仕組みです。
上限額が下がるため、支給される金額が多くなります。

多数回該当により引き下げられる上限額は以下の表を参考にしてみてください。

<70歳未満の方の場合>

所得区分本来の負担の上限額多数回該当の場合
上位所得者150,000円+(医療費-500,000円)×1%83,400円
一般80,100円+(医療費-267,000円)×1%44,400円
低所得者35,400円24,600円

<70歳以上の方の場合>

所得区分本来の負担の上限額多数回該当の場合
現役並み所得者80,100円+(医療費-267,000円)×1%44,400円

70歳以上で住民税非課税の場合(一般、低所得者の区分の方)は多数回該当は適用されません。

外科手術を伴う矯正治療を受けた場合の医療費はどうなる?

外科手術を伴う矯正治療の医療費に高額療養費制度を適用した場合、医療費はどうなるのか?を例にして見てみましょう。

歯科矯正治療は自費診療であるため基本的に高額療養費制度の対象にはなりませんが、外科手術を併用しないとかみ合わせを改善できない重度の「顎変形症」の治療は保険適用となるため高額療養費制度の対象になります。
外科的矯正治療を受ける患者さんはほとんどが70歳未満だと思いますので、70歳未満の算定方法(2-②の表を参照)を基にした医療費を以下に記載します。

外科矯正治療の10割相当医療費が100万円だとすると、高額療養費制度の適用がなければ30万円の自己負担となります。(3割負担の場合)
そこに高額療養費制度が適用されると、上位所得者は自己負担上限額が15万5000円となり14万5000円の軽減、一般は自己負担上限額が8万7430円となり21万2570円の軽減となります。

顎変形症の治療は症例によって費用にかなり差がありますが、総治療費が高額になったとしても高額療養費制度が適用されれば費用の負担を抑えることができます。
また、「限度額適用認定証」や「マイナ保険証」を利用することで、一時的に医療費を自己負担する必要なく、支払いを高額療養費の上限額までに留めることが可能ですのでぜひ利用してみてください。

ただし、外科矯正治療はすべての歯科医院が保険適用の治療に対応しているわけではなく、厚生労働省指定の顎口腔機能診断施設、連携医療機関で治療を行う必要があります。
さらに、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まれませんので注意が必要です。

まとめ

高額療養費制度を使って医療費を最も安く済ませるには、「限度額適用認定証」や「マイナ保険証」を利用する方法があります。
どちらも最終的な総額が安くなるわけではありませんが、最初の自己負担額が軽減されるため、一時的な金銭的負担を抑えることができます。
さらに、高額療養費制度では「世帯合算」や「多数回該当」などによって自己負担額を引き下げる仕組みもありますので、自分自身にあった制度を利用できると良いですね。

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オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: お役立ちコラム

タグ: 費用

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