治療について

矯正が終わった後のリテーナーはいつまで使い続ける?しなかったら歯が戻るって本当?

更新日:2022/11/30

矯正治療が終了しても、歯並びをキープするために「リテーナー」と呼ばれる保定装置を使用するのが一般的です。リテーナーを装着していない場合、歯は固定されずにわずかに動いていってしまうので、気づいた時にはせっかく苦労して綺麗に治した歯並びが元に戻ってしまったり、またズレが生じてしまう可能性もあります。

リテーナーとは

リテーナーとは「保定装置」のことをいいます。リテーナーは歯の後戻りを防ぎ、歯を抑える(保定する)目的で使用します。矯正装置を外した直後は、歯の周りの骨がまだ安定してないため歯が動きやすく、半日~1日装着しないだけでも歯が動いて後戻りをし始めます。そのため、この半年間はリテーナーの使用を数日間怠るだけでリテーナーが装着できなくなるほど動いてしまう場合もありますので注意しましょう。

歯科医院によって使用するリテーナーのタイプはさまざまですが、一般的には取り外しのできるワイヤーとプラスチックで出来たタイプとマウスピース型のタイプ、固定式のワイヤータイプがあります。

リテーナーのデメリット

リテーナーは歯の後戻りを防ぐ、という大きなメリットがありますが、装置の種類ごとにそれぞれデメリットもあります。

取り外しのできるワイヤーとプラスチックで出来たタイプ

このタイプのリテーナーは、装置の違和感と審美性に劣る、というのが欠点です。上顎の部分が全体的にプラスチックで覆われているので、発音する時に舌が滑り発音がしにくい場合があります。装置自体も大きいので、使い始めは違和感がありますが、発音も違和感も2週間もすれば慣れてしまう場合が多いです。

しかし、前歯の表面にワイヤーが見えてしまうので、せっかく矯正治療を終えて装置を外したのにまたワイヤーが目立ってしまうことに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。

マウスピース型のタイプ

2.1のリテーナーのような、審美的に気にされる方にはマウスピース型のタイプもあります。マウスピースは全てが透明なプラスチックで出来ているので目立ちにくく、また、歯列のみを覆うので発音にも影響を及ぼしにくいメリットがあります。

しかし、プラスチックでできているため耐久性が弱く、破損や変形が起こりやすいです。プラスチックが着色もしやすく、手入れをしっかりしないとすぐに黄ばんできてしまうという欠点があります。
さらに、マウスピース型のリテーナーは噛み合わせの面も全て覆われてしまうため、矯正後の噛み合わせが段々と馴染んでいくのを妨げてしまうのが最大のデメリットです。ワイヤータイプと比較すると、矯正が終わってもなかなか噛み合わせが安定しにくいかもしれません。

固定式のワイヤータイプ

このタイプのリテーナーは、セメントで固定してしまうため清掃性が悪く、外れやすいとういう欠点があります。歯の裏側にワイヤーを固定してしまうため取り外しができず、口腔清掃が不十分になりやすいです。ワイヤーが裏側にあるので鏡で確認しにくく、歯ブラシが当てにくい、デンタルフロスが通しにくいのが大きなデメリットです。

ワイヤーの周りに汚れが溜まりやすくなる事で虫歯や歯周病のリスクが上がり、定期的に歯科医院でのクリーニングやメインテナンスが必要になります。また、固定式ワイヤータイプのリテーナーのトラブルで多いのが、硬いものなどを噛んだ衝撃などでワイヤーが外れてしまうことです。急に外れてしまってもかかりつけの歯医者以外は対応できない時などもあるので、日頃から外れないよう注意しなければならないのは煩わしいかもしれません。

リテーナーはいつまで使い続ける?

リテーナーの使用期間は、基本的に矯正治療期間と同じくらいの2〜3年が「保定期間」と言われています。2〜3年ほどすると歯の周りの骨が安定してくるので、矯正装置を外した直後よりも歯は動きにくくはなりますが、リテーナーを使用しなくなると歯は保定されないので徐々には動いてしまいます。どのくらい後戻りしてしまうのかは、歯並びや口周りの筋肉・舌の癖などが関係してくるので個人差があります。さらに、見た目上はわからない量で動いていくのか、急に動いてしまうのかは予想することができません。そのため、かかりつけの歯科医院が提示した保定期間以降は、自己判断でのリテーナーの使用となる場合が多いです。ただし、保定期間以内に自己判断でリテーナーの使用をやめてしまうのは、後戻りのリスクが高まる危険性があるので、定期的に歯科医院を受診し歯医者の判断を受けることが大切です。長い年月をかけて整えた歯並びをキープするためには、リテーナーの使用が非常に重要です。

せっかくの努力を無駄にしないために

リテーナーは結局いつまで使い続けるのかというと、“歯並びをキープしたい限りは使用し続ける”ことをおすすめします。その時期は人それぞれ、タイミングも異なります。使用期間は、規定の保定期間を過ぎたら自己責任での判断となります。

保定期間以内にリテーナーの使用を自己判断で中断した結果、後戻りしてしまうことがあります。最初は、リテーナーの違和感に慣れず、付けない開放感からリテーナーをつけない習慣が続き、「歯が動いてしまったかも」と気づいた時には、もう以前使用していたリテーナーは装着できなくなってしまいました。長い年月をかけて整えた歯並びは、想像以上に早い期間で動いてしまいます。その後も1度気になり始めた歯並びは、ずっと気になってしまい結局後戻りした歯並びを治すために2度目の矯正治療も行う方も少なくありません。

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: 矯正歯科コラム

タグ: リテーナー 矯正治療の豆知識

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