矯正装置を着ける前に行うエッチングとは?
更新日:2023/09/16
目次
エッチングとは
歯面への接着工程の一つで、酸でエナメル質を侵食し、歯質表面に細かい凹凸を形成することで歯科材料の接着力を高める処理のことです。
エッチングの目的
エナメル質は、ほとんどが無機成分であり、酸で溶解する性質を持っています。そのため、エナメル質表面を酸で処理して脱灰させ、そこに歯科用樹脂(レジン)を流し込んで固めると、レジンが嵌合し簡単に接着させる事ができます。
エッチングの流れ(歯科用樹脂を接着する場合)
歯面清掃
必要に応じて、接着歯面を中心にプラークや歯石、古い材料などを除去します。
歯面処理(エッチング)
エナメル質へのエッチングは、エッチング材を塗布後 15 〜40 秒間放置します。(時間はメーカーの指示に従う)
水洗・乾燥
エッチング材を水洗し、十分に接着面を乾燥させます。この時エッチングされた後の歯面は白濁する特徴があります。
プライミング・ボンディング
歯と歯科用樹脂はそのままではくっつかないため、歯の表面に薄いプラスチックの膜を作るプライミング・ボンディングという作業が必要です。
歯科材料の接着
湿潤に注意し、材料を接着します。口の中は唾液や血液、呼気などの水分が沢山あるため、これらは材料の接着を阻害してしまう恐れがあります。
セルフエッチングシステムとは
配合されている酸性モノマーによるエッチング作用が発揮されるため、歯面処理後の水洗を必要としない工程のことを言います。
現在市販される接着材料の多くは、このセルフエッチングシステムであり、2ステップと1ステップに分類することができます。
2ステップは、セルフエッチングプライマーとボンディング材からなり、エナメル質に対してリン酸エッチングなしでも十分に接着が可能です。ただし、エナメル質に対して十分なエッチング効果を発揮するために、セルフエッチングプライマーをたっぷり塗布する必要があります。
1ステップではエッチング・プライミング・ボンディングを一度に行う事ができます。
1ステップシステムを使用する場合は、リン酸エッチングを使用するのが適しており、エナメル質のみをリン酸でエッチングした後、水洗・乾燥後にエナメル質と象牙質両方に対して接着材を塗布する必要があります。
エッチングをする際の注意点
エッチングは酸性の薬剤を使用するため、口腔軟組織や皮膚に付着させたり、目に入らないよう厳重に注意しながら使用する必要があります。万が一口腔軟組織や皮膚に付着したときは、すぐに多量の流水で洗浄します。
目に入ったときは、すぐに多量の流水で洗浄した後、眼科医の診断を受ける必要があります。
薬剤や食品、アクセサリー、化学物質などに過敏症の既往歴がある方は、エッチングに対して過敏症歴がなくても慎重に適応する必要があります。
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