治療について

小児矯正は意味ないって本当?

更新日:2022/04/21

子供を持つ親御さん達は、お子さんの乳歯が生え始めた段階で、矯正はいつ始めたらいいんだろう?と不安になると思います。まだ、乳歯が生え揃っていない段階でもカウンセリングに来る親御さんもちらほらいらっしゃいます。しかし、中には“小児矯正は意味がない”と耳にして、矯正治療を始めるタイミングを見失ってしまう場合もあるようです。そこで、小児矯正を始めるべき症例についてお話していこうと思います。

小児矯正が実は意味がないって本当?

最初にも述べたように、小児矯正を始めるタイミングを間違えると苦労して終えた矯正治療が意味なかったという場合があります。

治療を早く始めたからといって、矯正治療が早く終了するわけではありません。いくら早く治療を開始して歯をきれいに並べても、あとで生えてきた永久歯が、うまく並んで生えてこなければ、もう一度矯正で並べ直す必要があります。

小児矯正で忘れてはいけない事は、小児はまだ成長途中だという事です。乳歯が永久歯に生え変わる段階でもあるし、体もこれからどんどん成長し、骨格も変わり歯並びも変化していくのです。

結局は、成長しながら歯並びが変わっていくのに今始める矯正治療が果たして今必要なのか、意味があるのか、せっかくの時間とお金、努力が無駄になってしまわないよう見極めなければならないのです。

小児矯正で得られるものはある?

では、小児矯正をする事で得られるものはあるのでしょうか?早く始める小児矯正が、すべて意味がないわけではありません。早めに治療を開始する事がベストな症例もあります。

早めに始めた方がいい症例とは?

反対咬合
反対咬合
提供:大宮SHIN矯正歯科

まず一つ目は反対咬合の場合です。俗にいう“受け口”の状態のことです。
顎の骨は上顎と下顎で成長速度が違い、上顎骨は下顎骨に比べ先に成長します。一般的に男女とも小学校低~中学年の時期に成長のピークを迎え、下顎骨は身長が大きく伸びる小学校高学年〜中学生の時に成長が始まり、思春期が終わるぐらいまで成長すると言われています。

反対咬合は後から成長するはずの下顎が先に大きく成長してしまうので上顎が成長するタイミング(小学校低~中学年の時期)に上顎の成長を促す治療をする事がベストです。これは、小児矯正でアプローチしておく事が重要になってきます。

土台が狭く、歯が並ぶスペースがない
土台(歯が並ぶスペース)が狭く歯がずれて生えてしまう場合
提供:大宮SHIN矯正歯科

2つ目の症例は、土台(歯が並ぶスペース)が狭く歯がずれて生えてしまう場合です。小児矯正で最も多いパターンだと思います。しかし、この場合は永久歯が生え揃って顎の成長が落ち着いた段階で始めても遅くはありません。

歯がずれて生えてきたからといって小児矯正で歯並びを一時的に整えたとしても、成長と共にまた歯は動いていくので大人になった頃にはまた歯がずれ“小児矯正は意味があったのか?”となることも多いのです。ただ、このまま放置しておくと、成長に合わせてますます噛み合わせがひどくなり、歯並びだけではなく顔の形にも影響が出てしまう場合もありますので、このような場合は小児矯正で治療を始めておくのが良いでしょう。

本人の精神状態に影響を与える場合

本人が今すぐ歯並びを綺麗にしたいと望んでいたり、容貌に対して精神的に負担を抱えてしまっている場合は早めに治療することをおすすめします。特に思春期の頃は容姿を気にするようになり、自分の歯並びに意識を向け始めるお子さんも増えてくるので親御さんがやらせたいという気持ちよりも、本人が今矯正治療を希望しているかどうか、重要になってきます。

以上のような場合は、早い段階でアプローチする事に大きな意味があります。

成人矯正との違いとして、小児矯正は「顎の成長のコントロール」を目的としています。このままでは顎の成長に支障をきたし、治療をせずに放置する事で大人になった時に重度なガタガタや噛み合わせになりそうな場合やそれにより歯にダメージを与えたり、顎の骨の成長に影響を与える可能性がある場合は早急に治療が必要になります。骨格的な問題は、成長が止まった後に治療しようとしても難しいため、早い段階で治療を始める必要があるのです。

矯正歯科を選ぶポイント

では、小児矯正を始めるにあたってどのような矯正歯科を選択するのがいいのでしょうか?

最も重要なポイントは“本人に合わせた治療計画”を説明してくれる歯医者です。細かい検査をした後に納得いくまで説明を行い、個人個人に合わせた治療を開始してくれる歯医者です。

また、できるなら矯正専門歯科をおすすめします。中には月に2回矯正の先生が来てくれたり、何曜日は矯正の日、という歯科医院もありますが矯正治療はアクシデントが付き物です。急に装置が外れた、装置が当たって痛い等…矯正の先生が来てる日以外にも急に見てもらいたい日は誰にでも訪れます。矯正専門歯科だと常に先生がいるので対応してもらえますし、相談もできるので安心ですよね。

小児矯正において最も大事な事

最後に、小児矯正をするにあたって最も大事な事は“本人の意志”です。大部分は親御さん発信で矯正を始めようとなると思いますが、実際に矯正の痛みや辛さを経験するのはお子さんです。矯正治療は年単位の長い治療期間になるので本人の意思が強くないと本当に大変です。親御さんが早くやらせてあげたい気持ちもわかりますが、よく話し合い本人がこれから頑張っていけるのか、始める前の強い気持ちを持つ事がとても重要なのです。

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: 矯正歯科コラム

タグ: 小児矯正

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