治療について

歯科矯正は高額医療費制度の適応となる?

更新日:2022/04/23

歯科矯正治療と聞くと、治療費が高額なイメージがありますよね。家庭の支出の負担も大きくなります。では、歯科矯正治療は医療費控除の対象になるのでしょうか?また、高額医療費制度の対象にはなるのでしょうか?今回は歯科矯正の医療費制度について紹介していきます。

医療費控除とは

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

参考 : 国税庁HP

医療費控除の対象となる治療例

病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となる医療費に該当します。歯の治療に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断は以下のように決められます。

基本的に自由診療は対象外

歯の治療については、保険のきかない自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などは治療代がかなり高額になることがあります。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象になりません。歯の治療材料として一般的に使用されているものを使った治療は、医療費控除の対象になります。

歯科矯正は全ての人が医療費控除の対象にはならない

歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも容貌を美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。この部分については最後に詳しく説明していきます。

通院費も医療費控除の対象になる

治療のための通院費も医療費控除の対象になります。小さいお子さんの通院に付き添いが必要な時などは、付添人の交通費も通院費として含まれます。通院費は、通院した日を確認できるよう診察券に記載しておくとともに金額も必ず記録しておくようにしましょう。ただし通院費として認められるのは、交通機関などを利用した時のみで、自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代等は医療費控除の対象にはなりません。

医療費控除の際に注意すべき点

歯の治療費を歯科ローンやクレジットにより支払う場合には注意が必要です。歯の治療費は高額になることも多いので、デンタルローンやクレジットカードを利用して分割払いにする場合もあると思います。医療費控除では支払方法は関係ありませんのでデンタルローンやクレジットカードでの支払分も、医療費控除に含めることが可能です。

デンタルローンやクレジットカードの分割払いの場合は、月々の支払いは信販会社への返済であり治療費分はすでに立て替えられて支払われているため、ローンを契約した年、またはクレジットカードで支払った年分の医療費控除の対象になります。

医療費控除に含められるのは治療費の支払分のみで、ローンの利息やカード分割の手数料は対象にはなりません。治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、その年分の医療費控除の対象となりますので注意してください。

どのような症例が歯科矯正の医療費控除の対象になる?

先ほども述べたように全ての歯科矯正治療が医療費控除の対象となるわけではありません。ここではどのような矯正治療の症例が医療費控除の対象になるのか見ていきます。

子供の場合

発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするためにおこなう歯列矯正のように、歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象となりますが、容姿を美化、または容貌を変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはなりません。就職や結婚等を考慮しておこなう歯列矯正は、一般的に容姿を美化、または容貌を変えるためのものであると認められ、この場合の費用は、医療費控除の対象とはならないのです。

大人の場合

子供の歯列矯正の費用は大体が医療費控除に含まれる一方で、大人の歯列矯正はどうなのでしょうか。医療費控除が適用されるためには年齢や目的が関係しますが、大人だから絶対に医療費控除を受けられないというわけではありません。容姿を美化、または容貌を変えるためにおこなう歯列矯正は医療費控除の対象になりませんが、機能的な問題を解決するための歯列矯正は治療と判断されるので医療費控除の対象となります。また、最初は見た目の改善から歯列矯正を始めたとしても、治療に該当する処置がおこなわれたならば、医療費控除に適用されます。機能的な問題とは、噛み合わせが原因で咀嚼がうまくできなかったり、発音に支障がある、といったように生活上に問題が生じる場合を指します。機能的な面の問題は歯科医師でないと判断が難しいので、自分が該当するのかは歯医者で一度見てもらうのがよいでしょう。

また、医療費控除以外にも高額医療費制度というものもあります。

高額医療費制度とは?

医療費の家計負担が重くならないよう、医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給してもらえる制度です。

参考 : 厚生労働省HP

高額医療費制度は歯科矯正にも適応される?

高額医療費制度は「保険適応される診療」に対し、患者が支払った自己負担額が対象となります。つまり、自由診療である歯科矯正は高額な医療費がかかりますが、基本的に適応にはなりません。ただし、医療費控除と同様に機能的な問題を解決するための歯科矯正は治療と判断され、保険適応になる場合があります。保険適応になった際には矯正治療に対しても高額医療費制度が使用できます。

最後に

いかがでしたか?歯科矯正治療は全ての症例が医療費控除や高額医療費制度の対象になるわけではありません。治療を始めてから“実は対象ではなかった!”と焦らないよう、事前に自分は対象になりそうなのか必ず確認しておきましょう。

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オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: お役立ちコラム

タグ: お金

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