インコグニトって何?従来の舌側矯正との違いは?
更新日:2023/05/09
目次
インコグニトとは
インコグニトとは、歯の裏側に装着するフルオーダーメイドの歯科矯正システム“インコグニト™アプライアンス システム“のことを言い、患者さんの負担を減らし、さらに歯をより正確な位置に並べることができる画期的な矯正治療法です。
インコグニトと舌側矯正装置の違い・比較
従来の既製品による舌側矯正装置と違い、インコグニトは患者さん一人ひとりに合わせて完全フルオーダーメイドで作成されるため、患者さんの歯にフィットし、より良い治療結果を得ることができます。
舌側矯正の代表的な装置と比較すると以下のような特徴があります。
インコグニト(※参照)
違和感、痛み | 少ない |
ブラケットの特徴 | ・鋳造という方法で製造するため金属の収縮が起こりやすい ・薄く、凹凸が少ない ・ブラケットの装着面が大きく、外れにくい |
カスタムメイド | ◯ |
その他の特徴 | ・CAD/CAMソフトウェアでデジタルセットアップ ・金合金でできているので金属アレルギーの方でも可能 ・WINと開発者が同じ ・製作に時間がかかる |
WIN(※参照)
違和感、痛み | 少ない |
ブラケットの特徴 | ・ミリニング法という金属を削り出す方法で、インコグニトより精密に製造される ・インコグニトよりも厚みがある ・ブラケットの装着面が大きく、外れにくい |
カスタムメイド | ◯ |
その他の特徴 | ・コンピューター上で歯並びを再現、装置を設計 ・インコグニトと開発者が同じ ・製作に時間がかかる |
STB(※参照)
違和感、痛み | ブラケットが薄く、違和感が少ない |
ブラケットの特徴 | ・極めて小さく丸みを帯びた形 ・厚さが約1.5mmと薄め |
カスタムメイド | × |
その他の特徴 | 舌側ブラケットの中で最も小さい |
アリアス(※参照)
違和感、痛み | 細い特殊なワイヤーを使用するため、違和感が少ない |
ブラケットの特徴 | ・開閉式ブラケット ・蓋の強度が格段に高い ・やや小さめで、全体的に丸みを帯びた形 |
カスタムメイド | × |
その他の特徴 | ・セルフライゲーション方式 ・リンガルストレートワイヤーシステム ・摩擦が格段に少なく、歯の動きがとても早い |
クリッピー(※参照)
違和感、痛み | 弱い力で動かすため、痛みが少ない |
ブラケットの特徴 | ・独自のクリップ構造を持つブラケット ・アリアスに比べ蓋が弱く壊れやすくい ・ワイヤーを押さえる力が弱い ・厚さは薄めだが、幅は大きめ |
カスタムメイド | × |
その他の特徴 | ・セルフライゲーション方式 ・摩擦抵抗が少なく、弱い力で歯を動かすことが可能 |
インコグニトの利点は?
装置の痛み、違和感、発音障害の軽減
インコグニトはオーダーメイド装置で歯にフィットするため、装置への違和感が軽減されています。
従来の装置は既製品のブラケットを一つ一つ歯に貼り付けていくため、厚みが出やすく装置の違和感、痛み、発音障害を引き起こしやすいという欠点があります。
しかし、インコグニトのブラケットは限界まで薄く作られており、装置の表面もしっかりと研磨し滑らかに仕上げているため、舌への痛みや違和感を感じにくく、発音障害も起きにくいです。
歯をより正確に移動できる
インコグニトは患者さんの歯型を3Dスキャンし、コンピューター上で精密に計測するため、ブラケットを歯につける位置に誤差が無くなり、歯を正確に移動させることができます。そのため治療時間の短縮にも繋がります。
装置が外れにくい
インコグニトは従来の舌側矯正装置に比べてブラケットの接着面が大きいため、歯への接着力が高まり、ブラケットが外れにくくなります。
ブラケットが外れると歯が動かないため、治療がスムーズに進まず、治療計画に遅延が生じてしまう可能性があります。
インコグニトの欠点は?
準備から装着までに時間を要する
インコグニトは、患者さんの歯型を採得してから装置の装着までに、約1ヶ月半かかります。
インコグニトはドイツの工場で作成されており、患者さんの歯型を採得した後一度ドイツに送ります。作成された装置がドイツから日本に送り戻され、その後、装着となるため従来の舌側矯正よりも準備から装着までに時間が必要になります。
費用が高い
矯正治療費は歯科医院によって、また症例の難易度によって差がありますが、インコグニトによる治療費の相場は90万円〜150万円です。
従来の表側矯正治療よりも高額な場合が多いですが、完全オーダーメイドである点、ドイツで作成している点でコストがかかっていると考えられます。
別途、上記の金額に相談料、精密検査・診断料、セットアップモデル製作料、調整料、保定装置料などがかかる場合があります。
インコグニトによる治療期間
症例によって差はありますが、平均2年半と言われています。
インコグニトは治療開始前にワイヤーも全て作成されているため、ワイヤーの調整にかかる時間が少なく、1回ごとの治療時間は大幅に短縮されますが、全体的な治療期間には長い期間が必要になります。
最後に
インコグニトは全ての矯正歯科医院で対応しているわけではありません。インコグニトによる矯正を施術するには、指定認定コースを受講した上で、ドイツから資格を付与してもらう必要がああります。そのため、まず大切なのはインコグニト矯正に対応している経験豊富な歯科医院を選択することです。
インコグニトは画期的な舌側矯正治療法としてさまざまな利点もありますが、欠点もありますので、しっかりと納得した上で、治療を始めるようにしましょう。
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