矯正治療をスムーズにする「バイトターボ」って何?
更新日:2021/05/27
治療をスムーズにするバイトターボ
矯正治療のテクノロジーは、日々進化を遂げています。
昨今では、以前ご紹介した「オーソパルス(光加速矯正装置)」をはじめ、より患者さんの負担が少なく、スムーズかつ短期間で処置することができる手法や装置が数多く登場しています。
そこで今回は、主に噛み合わせが深い方(過蓋咬合)の矯正治療のオプションにお勧めな「バイトターボ(バイトアップ)」といわれる方法について詳しく解説いたします。
バイトターボとは?メリットについて
【ポイント】
・噛み合わせを微調整する装置
・治療期間を短縮する
・歯の下側に付けるため目立たない
【解説】
患者さんの噛み合わせが深い場合、矯正治療のプロセスで以下のような問題が生じてしまうことがあります。
・奥歯の高さ不足により矯正に支障をきたす
・矯正装置が外れやすい
特に裏側矯正では歯と歯があたってしまうことで矯正装置が壊れてしまうことがあります。
こうした不具合を解消するための方法として登場したのが、噛み合わせを調整する「バイトターボ」と呼ばれる装置です。
歯科医療の世界では「過蓋咬合(かがいこうごう)」と呼ばれる深い噛み合わせは、奥歯の高さ不足に起因します。
とくに、過去の虫歯治療で奥歯の欠損がある方、奥歯のインレー(詰め物)やクラウン(被せ物)をしたことがある方は、徐々に噛み合わせが低く深くなっていく傾向があり、矯正治療が通常より長期化してしまうことも少なくありません。
そこで、噛み合わせを一時的に高くして正常化することで、治療の効果をより大きなものにすべく開発されたのが「バイトターボ」です。
この手法の登場によって、現在では、上顎、もしくは下顎の舌側(歯の裏側)に付けるため審美面を気にせず、治療期間をスマートに短縮することが出来るようになっています。
また、ワイヤーやマウスピースなど装置の種類を問わず、さまざまなタイプの矯正治療と併用することができる使い勝手のよさもその大きな魅力と言えるでしょう。
※ ご自身の噛み合わせが「過蓋咬合」であるかどうかは、奥歯を噛みしめたときに上の前歯に隠れて下の前歯が見えない、もしくは下の前歯で上の前歯が隠れてしまうかどうかで簡単にセルフチェックすることが出来ます。自覚のないことも多い症例ですのでぜひ一度確認してみてください。
バイトターボ使用時の注意点・デメリットについて
【ポイント】
・飲食時に噛みづらさを感じることがある
・金属アレルギーのある患者さんは原則禁忌
・面長に感じる場合がある
【解説】
「バイトターボ」を活用した治療では、「通常より噛みづらさを感じる」という患者さんの声が寄せられることがあります。
何故かと言うと歯と歯の間に「レジン」というプラスティックのようなもので歯と歯の間に隙間を作る(上下で噛まないようにするため)です。
ただし、時間経過とともに「バイトターボ」装着による噛みづらさは解消される傾向も見られます。私自身もバイトターボを盛られたのですがその時に先生に聞いたところ「(人により個人差はあるが)「最大半年もすれば自然になくなる」とおっしゃってました。徐々に削れていきなくなるのが通常のようです。
しかし、最初は歯と歯が閉じず、またその分面長になったような気がして良い気分ではありませんでした。(他人から見れば誤差だそうです)
食事に際に食べやすいモノや避けた方がよいモノを判別出来るようになったり、コツを掴むことで違和感なく食事を楽しむことも出来るので、必要以上に心配することはありません。
注意点を挙げると、これは矯正治療全般に共通することですが、硬いものはなるべく口にされない方が良いでしょう。
また、「バイトターボ」は、金属製のステンレスを使用していることが一般的です。そのため、金属アレルギーのある方には適用することが出来ません。
使用可能であれば、非常にメリットの大きな装置なので気になる方は、ぜひ気軽に歯科医までご相談下さい。
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