治療について

矯正治療って実は安い?“治療料金”はこう使われる

更新日:2021/04/13

矯正治療は、100万円以上かかることも少なくありません。

普段我々が風邪を引き病院へ行く時は、数千円の負担で済むことがほとんどです。しかし、歯医者に行くとホワイトニングをはじめ数万円以上の治療がごろごろしています。

100万円と聞くと「なんでそんなに高いんだろう?」「もしかして歯医者さんがお金儲けしているのでは・・・」と疑問に思うかもしれません。

今回は匿名を条件に、矯正治療が高額な理由を矯正歯科専門医に聞いてみました。

矯正治療は社会保険が使えない自由診療である

矯正治療は、基本的に医療保険(公的医療保険)が適用されない自由診療のため、全額自己負担です。

風邪を引いて病院で治療を受ける場合、保険証によって我々の負担は3割にまで軽減されています。7割は毎月加入者が支払いをしている社会保険料で賄われているのです。

保険のイメージ

しかし、矯正治療は病気を治すためのものではなく審美的な側面があるため、保険適応がされません。つまり、治療代金を100%自分の力で払わなくてはならないのです。

矯正治療にかかる材料費が高額

矯正歯科専門医は、「まず、矯正治療には材料費がかかります。通常の医院ですと25~30%が材料費にあたります」と、材料費が高額であることをあげています。

矯正治療の中でも表側矯正が安く、裏側矯正が高いのですが、それも材料費の違いがそのままダイレクトに反映されているそう。

また、「インビザライン・ジャパン社のマウスピース矯正のようなブランドは材料費が高額になる」とのことで、良い治療法は材料費がとてもかかるそうです。

極端に安いものは材料もよくない…なんてことがあってはならないのですが、やはり高いものにはちゃんと理由があるといったところでしょうか。

診察のための人件費がかかる

次いで大きいのが人件費で、同じく20-30%程度かかるといいます。矯正治療は2-3年の治療がかかります。

最初に治療プランを考え、シミュレーションし、診察を定期的に行う必要があります。矯正の歯科医、歯科衛生士…の数年分の治療を受けられるお金を先に払っていると考えると、高額なのも納得ですね。

症例の経験が豊富な先生、実力のある先生は当然多少高額なケースがあります。なぜなら、経験の少ない歯科医は治療費を抑えるしか売りがないからです。

また、先生によっては治療のシミュレーションを外注に出す場合があります。その場合は外注費が別途かかります。

患者さんの協力次第では利益は乏しい

矯正治療は、人によって矯正治療期間に若干の誤差があります。特に3-4年と長くかかってしまうケース、例えばマウスピース矯正の場合にマウスピースを装着するのを怠ってしまうことなどで治療期間が伸びてしまうケースでは、病院側の負担はその分大きくなってしまいます。

患者さんの協力がなければ、いつまでたっても矯正治療は終わらないし、病院側も費用がかさむしお互いに良いことはありません。矯正治療には歯科医と患者さんが二人三脚で治療に取り組む必要があります。

調整料が別途かかる医院とそうでない医院の違い

矯正治療では、最初に支払った治療とは別に調整料がかかる場合があります。

治療期間中は定期的に矯正歯科医を訪れ、必要であれば装置を調整するのですが、そのために別途5000円〜6000円程度の調整料がかかることがあります。

調整料は最初に支払う100万円なりのお金に含まれる医院と含まれない医院、取る医院、取らない医院があります。

調整料はない方が(費用を抑えられて)良いじゃん!と考えるのは、「少し軽率」だそう。

というのも、調整料がない場合は定期診察が2-3か月に一遍と少なかったり、予約がとりづらかったりで定期的に通うのが難しい仕組みになっている場合があるそうです。

また、調整料がない医院で治療した場合、調整の際にその都度「追加料金」が発生する可能性もあります。

気が付いたら費用が大きくかさんでいた…なんてことが起きないよう、最初から調整料の件を言及している矯正歯科の方がオススメかもしれませんね。

また、「矯正治療中に何かのトラブルがある」可能性についてもあらかじめ考えておく必要があります。その時に少しのお金がかかったとしても、「きちんと見てもらえる矯正歯科医を選ぶ」ことが大事だそうです。

そのほかに、アンカースクリューやオーソパルスのように矯正治療中に何か別のオプションを加える場合は別料金となります。

意外と儲からない?矯正治療

歯科医であれば矯正専門の歯科医でなくても矯正治療をすることができます。ということは、競争がより激しいということになります。

現実的なところで言うと人件費、材料費のほかにも集客のため、ホームページを充実させる、駅前に広告を出す、ブログを更新するといった広報費も必要になるそうです。

すでに材料費で20-30%、人件費で20-30%、残り40%から広報費も支払う、となると矯正歯科の治療が意外とお得なことがわかると思います。

もちろん、それ以外にも医院の治療機器代、入っているビルの家賃、電気代などの光熱費…が別途かかってくるのは言うまでもありません。

まとめ

矯正治療の専門医いわく、

  • 矯正治療は社会保険が使えない自由診療で負担が100%である。
  • 矯正治療の材料費は治療代の25~30%にあたる。
  • 矯正治療の診察のための人件費も約30%かかる。
  • 調整料がかからないから良い訳ではない。調整料は保険のようなもの。
  • 調整料がかかっても良い専門医を選択すべし。
  • 広報費などそのほか経費もかかるので決して歯科医の取り分が大きい治療ではない。

矯正治療では症例数が多く、認定医などの専門医を選ぶことがとても大切だということがわかると思います。

病院の選び方については他の記事でもポイントを紹介しているので、そちらも参考にしてみてくださいね。

この記事の監修者一覧

大宮SHIN矯正歯科院長 矢野晋也

2001年日本大学歯学部卒業、2006年同大学院卒業。
2008年日本大学歯学部専修医、2010年日本大学助教、2013年大宮にSHIN矯正歯科開業。
日本矯正歯科学会認定医・マウスピース型装置(インビザライン)・ダイアモンドプロバイダー他。

大宮SHIN矯正歯科へ

この記事を書いた人

オルソペディア編集部

オルソペディア編集部です。矯正関する知識やコラム、お役立ち情報など様々な記事をお届けします。

カテゴリー: 特集

タグ: 矯正治療の豆知識 費用

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