無歯症の矯正治療は保険適用?
更新日:2023/06/22
無歯症とは
乳歯もしくは永久歯が先天的に欠如している状態で、一部の歯が欠如している部分的無歯症と、すべて欠如している全部性無歯症があります。生まれつき歯の種類を問わず1本でも歯が欠損している疾患を「先天性無歯症」と言います。
参照:日本医療研究開発機構HP
無歯症の症状や弊害
永久歯が先天欠如していて乳歯が残存している場合、乳歯は永久歯と歯の硬さが違うため欠けやすく、さらに歯の根っこの長さも違うため、同じ力で咬んでも永久歯よりも負担がかかりやすいです。
歯が1,2本無いだけでも他の歯にかかる負担は大きく、歯の破折だけでなくむし歯、歯周病が起こるリスクも高まります。
また、歯が少ないため食べ物を噛む咀嚼回数が減り、消化器系の内臓障害が起こるリスクも高まります。
多数歯の先天欠如は、歯の位置異常や過蓋咬合、空隙歯列などの歯並びに対する影響だけでなく、顎顔面の形態にも影響を及ぼす可能性があります。
さらに、無歯症による矯正治療では歯を長距離移動させるため、歯根や歯周組織へ大きな負担がかかってしまう可能性もあります。
無歯症の矯正治療の流れは?
無歯症の治療はこのような流れで進めていきます。
- 一般歯科、小児歯科、矯正歯科などで経過観察
- 矯正歯科にて第1期矯正治療
- 矯正歯科にて第2期矯正治療
- 必要な場合は一般歯科にて補綴治療(インプラント、ブリッジ、入れ歯など)
- 一般歯科にて総合的なメインテナンス
無歯症は長期的な治療が必要で、長い視野で治療に臨まなければなりません。
矯正治療を終えた後でも、将来的にブリッジやインプラント、入れ歯による補綴治療が必要になる可能性が高いです。
無歯症の治療では、補綴を専門とする歯科医師に診断をしていただいた上で、矯正治療による歯の移動を考える事が大切だと考えています。
中には補綴処置を行わずに矯正治療のみで、良いかみ合わせを得ることができる場合もあります。
無歯症の矯正治療は保険適用?
一般的な矯正治療は自費治療ですが、6本以上の歯が先天性欠損の場合は、「先天性部分無歯症」という厚生労働省が定める先天疾患として病名がつき、矯正治療に健康保険が適用されます。
さらに、令和2年度の診療報酬改定により、先天性部分無歯症の方はインプラント治療にも健康保険が適用されるようになりました。
ただし、保険適用は「指定自立支援医療機関」の指定を受けている病院での治療に限られます。
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無歯症と言われたらどうすればいい?
まず最初に無歯症の指摘を受けるのは、1歳時歯科検診や3歳時歯科検診が多いです。
そこで歯の生え方に異常がある、歯の生え方がかなり遅いなどの指摘を受けた場合は、歯科や矯正歯科を受診し、レントゲンなどの検査を受けてみましょう。
レントゲン検査を行うと、乳歯の下にあるはずの永久歯を確認できるため、予め先天性欠如歯の有無を確認する事ができます。
その後は歯科医院の指示に従い、現段階で必要な治療を進めていきます。
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